Posts Tagged ‘買い換え’

譲渡を行ったその年に買い換えができませんでした。この場合はどうしたらいいのでしょうか。

 

事業用の資産の買い換え特例の適用期限は売却した年の次の年の12月31日までとなるので、この期間内であれば特例の適用に問題はありません。ただし、買い換えた資産は買った日から1年以内に事業に投入する必要があります。
売却した年の次の年に買い換える場合の申告は、その対象資産の確定申告書に取得予定の買い換え資産の取得予定年月日と取得価額の見積額、買い換え資産が買い換えの組み合わせのどちらかに当てはまるかその他の明細を書いた「買い換え(代替)資産の明細書」を添えてください。この譲渡所得の計算は、所得価額の見積額に従ってされることになります。
その後、買い換え資産を実際に買い入れた際に、購入代金などの支払い明細などを出して精算します。この時の実際に買い換えた資産の額数が見積額と違って、譲渡所得の税額に変動が発生したら、以下のようになります。

1.実際の金額が見積額より大きく、税額が少なくなる場合:事業用の資産を購入した日から4ヶ月以内に更正の請求が可能です。
2.実際の金額が見積額より少なく、税額が大きくなる場合:修正申告が要ります。事業用の資産を売却した年の次の年の12月31日から4ヶ月以内に修正申告と納税を完了する必要があります。

*東日本大震災の事情で、買い換え資産の取得が難しくなった時は、納税地の管轄税務署長の承認手続きを行い、その期間を過ぎた日の以降の2年以内の日で買い換え資産の取得が可能なものとして税務署長が認めた日まで、その取得すべき機関の延長が承認されます。

売却した金額以上の金額で事業用資産を買い換えた場合の譲渡所得はどのように計算されるのでしょうか。

 

事業用の資産の買い換え特例を適用する場合、売却した金額の額数よりも買い換えた金額が多くても、売却金額に2割を乗じた額数を収入金額として譲渡所得の額数を算出します。このような場合の計算は、以下の通りに行われます。
(1)収入金額=売却金額X0.2
(2)必要経費=(売却資産の取得費+譲渡費用)X0.2
(3)譲渡所得=収入金額‐必要経費

Ex)売却額数3億円
買い換えた資産の購入価額5億円
売却資産の取得費9000万円
譲渡費用1000万円

収入金額:3億円X0.2=6000万円
必要経費:(9000万円―1000万円)X0.2=2000万円
譲渡所得:6000万円―2000万円=4000万円

売却した金額より少額で事業用資産を買い換えてしまいました。この場合の譲渡所得はどのようになるのでしょうか。

 

事業用の資産の買い換え特例を適用する場合、売却した金額より買い換えた金額の方が少額である場合は、その差額と買い換えた金額に0.2を乗じた額数との合計を収入金額として譲渡所得額の算出をします。
この場合の計算は以下の通りになります。

(1) 収入金額=(売却金額‐買い替え資産の購入価額)+(買い替え資産の購入額X0.2)
(2) 必要経費=(売却資産の取得費+譲渡費用)X(収入金額/売却金額)
(3) 譲渡所得=収入金額‐必要経費

Ex)売却金額5億円
買い替え資産の購入額3億円
売却資産の取得費8000万円
譲渡費用2000万円

収入金額=(5億円‐3億円)+(3億円X0.2)=2億6000万円
必要経費=(8000万円+2000万円)X(2億6000万円/5億円)=5200万円
譲渡所得=2億6千万円‐5200万円=2億800万円

親族の事業用に使用させている資産を買い換えようとしています。この場合、買い替えの特例の適用は可能でしょうか。

 

事業用の資産の買い替えの特例の対象は、所有者本人の事業用であることが原則となります。したがって、所有者本人でなかったら、この特例の対象には含まれません。
しかし、売却資産の所有者と生計をひとつにする親族の事業用の場合は、所有者本人の事業用と同等の扱いにされることになります。
売却だけでなく、買い換えた資産も同様の扱いになり、その資産の使用者が所有者と生計を一つにする親族である場合も特例の適用が受けられます。

既成市街地などを郊外に買い換えた場合の具体的な例えを挙げてください。

 

事業用のしさんの買い換えの特例は、売却資産と買い換え資産の組み合わせがある一定の場合に限られています。このようなケースの一つが、既成市街地などにある土地を売却し、既成市街地などの区域外の土地を買い換える場合です。例えば、製造業をしている個人が、既成市街地の区域内にある工場敷地を売却し、既成市街地の区域外に同じ工場・敷地を買い換えるなどのことです。このような具体例が買い換えの特例の対象になるためには、以下の3つのことに注意する必要があります。

1.既成市街地などの区域の範囲を確認してください。
2.買い換える土地の面積は、売却土地の面積の5倍までの制限があります。5倍を超過する部分は、買い換えの特例の対象にはなりません。
3.売却資産は事業所や事務所、工場などに使われている建物やその敷地の土地などの中で、その譲渡日が含まれる年の1月1日での所有期間が10年以上のものです。

事業用資産の買い換えの特例について教えてください。

 

ある事業を営んでいる個人が、事業用として使っている特定地域内の土地・建物などを譲渡し、特定の期間内に特定地域内の土地・建物などの資産を得て、その資産を得た日から1年以内に買い換えの資産を事業用として使った場合は、一定の要件を満たして、譲渡益の一部への課税を将来に繰り延べられる制度が、事業用資産の買い換えの特例となります。非課税にはならないことに注意してください。
この特例の適用の対象になると、売却した金額の額数より買い換えた金額の方が多い場合は、売却した金額に2割を乗じた額を収入金額として譲渡所得を算出し、少ない場合はその差額と買い換えた金額に2割を乗じた額数との合計を収入金額として譲渡所得を算出します。

この特例の適用を受けるためには、以下の要件の全てに該当しなければなりません。
1.買い換えるために売却する資産と買い入れの資産は、両方とも事業用に限られます。
2.買い替え資産と譲渡資産が、ある一定の組み合わせに該当するものであることです。
(1)東京都23区や大阪市などの既成市街地などの地域内にある事業所や事務所として使われている建物やその敷地用の土地の中で、譲渡日に入る年の1月1日に所有期間が10年以上のものを譲渡し、既成市街地などの外にある事業用の土地・建物・構築物・機械装置などを買う場合
(2)譲渡日の入る年の1月1日に、所有している期間が10年以上の国内の事業用土地・建物・構築物を譲渡し、国内の事業用土地(以下のaかbに当てはまるもので、面積300平方メートル以上)・建物・構築物・機械措置を買い入れた場合
a.倉庫、事務所、店舗、工場、営業所、作業所、研究所、住宅とその他のこれらと同等の施設の敷地用に使われているもの:当該の特定施設にかかわる事業上、必要な駐車場などとして使われるものも入り、福利厚生施設に当てはまるものは場外
b.駐車場用として使われているもので、構築物や建物の敷地用に使われていないことに関して、建築基準法第6条第1項の定めによる建築確認の手続き、都市計画法第29条第1項・第2項の定めによる開発行為の許可の手続きなどが進行しているというやむを得ない事情があり、その事情の趣旨が記載された申請書のコピーなどの一定書類によって明確にされたもの
3.買い換えの資産が土地などの種類である場合は、その取得する土地などの面積が譲渡した土地などの面積の5倍を超えないことです。5倍を超過する部分に関しては特例の適用が受けられません。一定の農地の場合は、10倍以内になることもあります。
4.資産譲渡を行った年中、その前年中、譲渡を行った年の次の年中に買い換えの資産を取得しなければなりません。前年中に売却した資産を買い換えの資産にするためには、取得年の次の年の3月15日までに「先行取得資産に関わる買い換えの特例の適用に係る届出書」を管轄税務署長に出してください。
売却した年の次の年中に資産を買い換えようとする場合は、確定申告書を出す際に、買い換えようとする予定の資産に関した取得予定年月日・取得価額の見積額・買い換え資産が買い換えの組み合わせのどちらかに当てはまるかの別、それ以外の明細を記した「買い換え(代替)資産の明細書」を添える必要があります。
5.買い換えの資産を得た日から1年以内に事業に使わなければなりません。取得してから1年の期間内に事業用として使わなくなった場合は、特例の対象にならないのが原則です。
6.特例の対象にしたい資産に関して、他の特例(優良賃貸住宅の割増償却や優良住宅地の造成などの為の土地譲渡を行った場合の長期譲渡所得の課税の特例など)と重複して適用させるのは不可能です。
7.土地などの譲渡に関しては、譲渡年の1月1日現在の所有した期間が5年以上であることです。2013年12月31日までの譲渡については5年の制限が停止されますが、2の(1)(2)のようなケースは、所有期間が譲渡年の1月1日から10年以上であることになります。
8.譲渡資産の譲渡を行う手段は、出資・贈与・収用など・交換・代物弁済などではないこと。買い換えの手段も、交換や贈与、代物弁済、所有権移転外リース取引などではないこと。

この特例の対象になった場合の譲渡所得額は、以下の計算式によって算出されるのが原則です。
1. 譲渡する資産の譲渡価額より買い換えの資産の取得価額の方が多いか、同額の場合
(1)収入金額=譲渡の資産の譲渡価額X20%
(2)必要経費=(譲渡資産の取得費+譲渡費用)X20%
(3)収入金額‐必要経費=譲渡所得の税額
2.譲渡する資産の譲渡価額より買い換えの資産の取得価額の方が少ない場合
(1)収入金額=譲渡の資産の譲渡価額X80%
(2)必要経費=(譲渡資産の取得費+譲渡費用)X(収入金額/譲渡の資産の譲渡価額)
(3)収入金額‐必要経費=譲渡所得の税額

特例の対象になるためには、確定申告書を出す時に以下の書類も添付してください。
1.譲渡所得の内訳書:確定申告書付表兼計算明細書
2.買い換え資産の登記事項証明書等の、その資産の取得を証明する書類:買い替え資産を得る予定が認められ、特例の適用が受けられた場合は、買い換え資産を得た日から4ヶ月以内に提出する必要があります。
3.譲渡資産・買い換え資産が特例の適用要件である特定地域内にあることを表明する市町村長などの証明書など

買い換え資産を得る予定が認められ、特例の適用を受けて申告した買い換えの資産の「実際の取得価額」が「取得価額の見積金」より多かった場合は、買い換えを行った日から4ヶ月以内に「更正の請求書」を出して所得税の還付をしてもらうことが可能で、少なかった場合も買い換えた日から4ヶ月以内に修正の申告をし、差額の所得税を納付する必要があります。
来年中に買い換えの資産を得る予定で買い換えの資産を得なかった場合・買い換え資産を得た日から1年以内に事業用として使っていない・使わなくなった場合は、このような事情に当てはまることになった日から4ヶ月以内に修正申告と差額の所得税を支払ってください。

*2011年3月11日~2016年3月31日の期間内に被災区域内の建物・構築物、土地などで、2011年3月11日前に得たものを譲渡し、国内の土地など、減価償却資産を得る場合jなどの、特定の事業用の資産の買い換えなどの場合に対する譲渡所得の課税の特例という制度があります。

Copyright(c) 2014 よくわかる事業用資産購入・売却と税金 All Rights Reserved.